クラウドBPOトピックス

給与支払報告書の作成・提出と人事・給与計算担当が行うべきこと

2022.10.19BPOトピックス

給与支払報告書は年末年始にかけて年末調整と合わせて対応しなければいけない、人事・給与計算担当者の業務です。給与計算報告書の書き方や提出方法、提出期限など注意すべきポイントをまとめています。提出も怠ると事業主や担当に罰則もある重要な手続きです。近年は電子申請・ソフトウェア活用も浸透したことで、効率的に正確に行うことも可能です。

 

1.給与支払報告書とは

  • 給与支払報告書とは、前年1月1日から12月31日までの1年間に事業者が従業員にいくら給与を支払ったのかを確認するための提出書類です。給与支払報告書をもとに、住民税の課税額が決まります。住民税は所得に応じて「市区町村(地方自治体)」に納める税金です。給与支払報告書は住民税の計算に使います。ちなみに、似たような書類として源泉徴収票があります。こちらは、「税務署(国)」に提出する書類になります。
  • 給与支払報告書の構成は、2つでセットです。①従業員の個別の年間の給与金額などを報告する個人別明細書と②個人別明細表をまとめる総括表です。従業員に給与支払いを行っている事業主は、翌年1月1日時点で従業員が居住している市区町村に2つの書類を作成し、給与支払報告書として提出しなければならないと義務付けられています。

(令和2年分~)給与支払報告書

  • 法人・個人を問わず、給与を支払う事業主は給与支払報告書を提出する義務があります。従業員には、正社員だけではなく、パートやアルバイト、役員などの雇用形態の者も含まれます。給与支払報告書は支払った金額に関係なく作成する必要があります。基本的に、在職中の従業員の給与支払報告書は提出するものだと認識しておきましょう。

 

2.給与支払報告書の手続き・提出

  • 給与支払報告書は、個人別明細書と総括表の二種類に分かれます。源泉徴収票の複写で作成するものは個人別明細書です。総括表は市区町村に付ける表紙のようなものです。
  • 給与支払報告書の手続きに必要な情報は、「支払った給与、給与所得控除の額、所得控除の内訳と合計、家族に関すること」です。年末調整のときに従業員の家族に関する書類(給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の基礎控除申告 兼 給与所得者の配偶者控除等申告 兼 所得金額調整控除申告の概要)を提出してもらいますので、給与支払報告書の手続きに関して従業員に特別に対応してもらうことはありません。つまり、年末調整を行うと、給与支払報告書に必要な情報が揃います。
    年末調整の手続きに関する記事はこちら
    年末調整のときに人事・給与計算担当が行うべきこと
  • 給与支払報告書は、市区町村のホームページからダウンロードするか、担当部署や税務署で配布しているものを使用します。最新の様式を使いましょう。
  • 給与支払報告書として「個人別明細書」「総括表」のほかに、「普通徴収切替理由書」の提出が必要になるケースがあります。普通徴収切替理由書は、特別徴収から普通徴収に切り替える必要がある対象者がいる場合に提出しなければなりません。普通徴収への切り替えが必要なケースは、退職者が該当します。
  • 給与支払報告書は、「市区町村窓口への提出」「郵送」「光デスク」「電子申請(eLTAX)」のいずれかの方法で提出します。eLTAXを活用した電子申請がスムーズです。
  • また、前々年に提出した源泉徴収票の枚数が100枚以上の給与支払者は、eLTAXまたは光ディスク等による給与支払報告書の提出が義務とされています。令和3年1月提出分から、前々年の源泉徴収票の枚数基準が以前の1,000枚以上から100枚以上に引き下げられたため、義務化の対象となっているので確認しましょう。退職した従業員も個人別明細書を提出するならば人数に含めることになります。

給与支払報告書等のeLTAX又は光ディスク等による提出義務基準が引き下げられました!

  • 給与支払報告書の提出期限は1月31日です。期限までに、従業員が1月1日に居住している市区町村へ提出しなければいけません。給与支払報告書の提出を受けた市区町村は、そのデータを元に住民税と国民健康保険料の計算をします。給与支払報告書の提出が遅れてしまうと住民税や国民健康保険料の請求を受けるのが遅れてしまい、従業員に迷惑をかけてしまうことがありますので注意しましょう。給与支払報告書の提出を怠った場合には、事業主や人事・給与担当者に1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(給与支払報告書等の提出義務違反に関する罪)。万が一期限を過ぎてしまっても速やかに提出しましょう。
  • 給与支払報告書の提出にはマイナンバーが必要になります。マイナンバーは給与を受ける従業員本人とその扶養家族のものが必要となります。事業主は従業員にマイナンバーの提出を求める義務がありますので、基本的にはマイナンバーを把握していることになります。本人が拒むことのない限り、記載しましょう。拒まれる場合は、空欄で提出します。

 

3.給与支払報告書のポイントと注意点

退職者がいるケース

  • 事業主は、1年の途中で退職してしまった従業員の分も給与支払報告書を作成・提出する必要があります。退職した従業員の給与支払報告書の作成は、退職時に住んでいた住所の市区町村の様式に合わせましょう。
  • 給与の支払金額が30万円以下の退職者であれば、特例によって給与支払報告書の提出が免除になることもあります。ただし、これは特例であり、市区町村によっては提出が必要になることもあるため、従業員が居住している市区町村に確認をします。
  • 退職者の住民税の徴収方法が特別徴収から普通徴収に切り替わることがあります。従業員は、地方税法によって特別徴収で住民税を納めることと決められています。特別徴収とは、いわゆる天引き方式です。退職して従業員ではなくなった場合、決められた住民税を自分で納めることになります。これを普通徴収といいます。
  • 特別徴収から普通徴収に切り替える場合は、給与支払報告書の総括表で報告しなければなりません。総括表には特別徴収から普通徴収に切り替える人数を記入する欄があるので、退職者はそちらに記載し、「普通徴収切替理由書」の提出を行います。

提出後に間違いが見つかったケース

  • 市区町村に提出してから間違いが見つかったときは、間違いに気がついた従業員の個人別明細書を新しい用紙にて作成し直します。総括表も新しく作成し、「訂正」に〇をして、個人別明細書とともに提出します。市区町村によっては別のやり方での訂正を求められるケースもあるので、必ず確認の上で対応しましょう。

 

4.給与支払報告書の電子申請・ソフトウェア活用

  • 給与支払報告書は市区町村の窓口や郵送による提出に加え、電子申請ができるようになりました。年末調整等と重なり、人事・給与計算担当の忙しい時期での手続きとなります。電子申請・クラウドサービスを活用することで、業務負担を減らし、かつ正確に手続きを行うことを推奨しています。

  • 給与支払報告書の電子申請では、eLTAXを使います。窓口に出向いたり、紙の書類を作成したりする手間がなく、スムーズな申請が可能となっています。ソフトウェアを活用したeLTAXでは、給与支払報告書と源泉徴収票を一括で作成・提出することも可能です。給与支払報告書は各市区町村に、源泉徴収票はe-Taxを経て管轄の税務署に提出されます。
  • 給与支払報告書を電子申請するときに注意したいことは、ソフトウェアの入れ替えや新規導入が必要なケースがある点です。使用中のソフトウェアがeLTAXに対応していれば問題ありません。もし、対応していない場合は対応できるソフトウェアに入れ替えるか、PCdeskを利用する必要があります。
  • その場合、クラウドツール導入などと同様にデータの登録・移行、慣れないソフトウェアの取扱いなど、工数がかかります。事前にソフトウェアの選定から計画的に動きましょう。
    管理システムや新しいソフトウェアの導入をプロに任せる方法もあります。よりスムーズに、人事・給与業務を電子化させたい場合はぜひご検討ください。

 

5.給与支払報告書作成・提出のアウトソーシング

給与支払報告書の作成・提出は、人事・給与計算担当者にとって忙しい時期のイレギュラーな業務となります。コア事業に集中するために少数精鋭でやっているバックオフィスでルーティンワーク以外のことを行っていくのは大変です。こうしたイレギュラー対応やルーティン業務の中でも給与計算等の代行できるものはアウトソーシングを活用することをおすすめしています。
給与支払報告書の業務は、年末調整と同じ時期に人事・給与計算担当が期限までに正確に対応しなければいけないものです。代行出来ることは上手に手配して、人事関連の自社でしか出来ないことにリソースを有効に活用してはいかがでしょうか。
給与計算や賞与の支払いをアウトソーシングすると、本業に集中でき、給与計算や賞与の支払いのプロが業務を行い、給与・マイナンバーのような重要情報をセキュリティ高く管理し、コストも間接部門の雇用よりも安いといったケースも多いです。システム選定やソフトウェア導入などの負担も軽減します。

  • 社内リソースをコア業務へ注力

  • クラウド活用でより簡単に、より便利に

  • 経営リスク削減・リスク予防

 

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