クラウドBPOトピックス

36協定の届出と人事・給与計算担当がおさえるポイント

2022.10.27BPOトピックス

36協定とは労働基準法に定められる労使協定の1つで、労働時間のルールを決める大切な協定となります。人事・給与担当者としても正しく理解しておくべきものになります。労使協定とは事業所内での労働者の規則や、労働環境に関わる協定です。就業規則に労働基準法に基づいた労使協定を設けることによって、法定義務の免除や免罰の効果を発生します。今回は、労働者の労働時間と労働環境を管理する上で非常に重要な36協定について解説していきます。電子申請にも対応しているので、このあたりも押さえておきましょう。

 

1.36協定とは

36協定とは労働基準法36条において定められている労使協定の1つです。法定労働時間である1日8時間、週40時間を超えた労働(時間外労働)や休日労働を行う場合には、労働基準監督署に36協定届の提出が必要となります。36協定では、時間外労働でおこなわれる業務内容や労働者数、時間数、有効期間などを定める必要があります。労使間で36協定を締結することで、月45時間、年360時間まで時間外労働をさせることが可能となります。

特別条項付き36協定を締結することで、それ以上の労働を行うことも可能ですが、上限は以下の通り定められています。

  • 年間の時間外労働は720時間以内
  • 1ヵ月の時間外労働と休日労働の合計が100時間未満
  • 2~6ヵ月の時間外労働と休日労働の平均が月80時間以内
  • 限度時間を超えられる回数は年6回まで

また、届出を提出する前には労使間で協定書を締結する必要もあります。提出期限を遵守しましょう。。

労使協定とは、労働者と使用者間(労使間)で取り交わされる約束を書面契約した協定です。労使協定には様々な種類があり、例外的な規則を労働者と使用者の間で締結し、労使協定の締結と就業規則の規定を併せて行うことで、法的義務の免除や免罰の効果があります。

 

2.36協定の届出の提出方法

①労働基準監督署に直接提出する

36協定の届出は管轄の労働基準監督署に直接持ち込んで提出を行います。届出には専用の用紙が必要となりますが、窓口で受け取るか、厚生労働省または労働基準監督署のホームページからダウンロードして使うこともできます。

担当者が社内で書類を作成し、提出すれば届出を行います。労働基準監督署で手続きができるのは平日日中のみであることや、3~4月は大変混み合い手続きに時間がかかることがあるので他の方法も検討しましょう。

② 郵送で提出する 

36協定の届出を管轄の労働基準監督署に「郵送」するという方法もあります。郵送の際には封筒に36協定届の原本と写しの計2部を封入します。控えを返送してもらうための封筒と切手、同封した書類とその枚数について記載した送付状の添付が必要となります。

36協定について顧問契約先の社会保険労務士などに代行依頼する際には、届出書類に社会保険労務士の名前を記載することになります。郵送の届出であれば時間を問わず手続きができます。ただし、郵送の届出には数日から1週間程度の時間がかかるケースがあるため、余裕を持った提出準備を行いましょう。

③電子申請する

36協定の届出をオンラインでおこなうことも可能です。厚生労働省や労働基準監督署側も、電子申請の推奨を行っており、今後は主流になっていくことでしょう。

電子申請を行うためには、「e-Govのアカウント」の取得が必要となります。過去に電子申請でe-Govアカウントを取得した場合には、そのアカウント使いましょう。電子申請アプリケーションをインストールしましょう。アプリケーションは利用しているOSに応じたものを選びます。

e-Gov電子申請アプリケーションにはさまざまな申請手続きが設定されていますので、36協定届を選び、入力フォームを表示しましょう。あとは、フォーム内に必要事項を入力して書類を作成し、システム内から提出すれば届出が完了します。

複数の事業所がある企業の場合、事業所ごとに36協定を締結して、事業所ごとに労働基準監督署長に提出する必要があります。しかし、電子申請の場合は、届出を一括でまとめておこなうことがで可能です。届出の提出業務にかかる時間や負担を電子申請の一括届出を用いることで業務効率化にも繋がります。

一方で、まだまだ電子申請のシステム自体が複雑で、郵送での届出を行う企業が多いのも実態です。こうした電子申請のトレンドは把握しつつも、スムーズな届出方法を検討することが人事・給与担当者の役割になります。

 

3.2021年の36協定変更点

2021年における36協定の変更点について解説していきます。2021年は36協定の書式なども変更されているため、変更点についてあらかじめ確認をし手続きを行う必要がありました。

・36協定届等における押印・署名の廃止等

新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から行政手続きの押印原則が見直しされています。この一環として、36協定届における押印・署名も廃止となりました。あくまで協定書は労使間での合意がされた証拠になり、労働者代表と使用者の署名または記名押印が必要になります。廃止されたのは、「36協定の届出」に関するものとなります。

・協定当事者に関するチェックボックスの新設

新たに協定当事者に関する「チェックボックス」が加わった書式に変更されました。36協定を適切に締結するため、労働者代表の適格性についての要件を確認するチェックボックスが新設されました。

  • 管理監督者でないこと
  • 36協定を締結する者を選出することを明らかにした上で、投票・挙手等の方法で選出すること
  • 使用者の意向にもとづいて選出された者でないこと

労働者代表を適切な手段により選出されていることを確認する意図として加わった項目です。36協定が労働者の同意を得て行われ、労働者の不利益になっていないことを確認するものです。

・電子申請による手続きの簡素化

2021年3月末から、電子申請に限り、各事業場で労働者代表が異なる場合でも、本社で一括届出ができるようになっています。36協定の締結はこれまで通り各事業場で行う必要がありますが、電子申請を行うことで各事業場を管轄する労働基準監督署へ届出をする必要がなくなります。この仕組みを使うことで、手続きにかかる手間を削減することが可能になりました。

     

    4.36協定の注意点

    1.なぜ、36協定の届出が必要なのか

    法定労働時間とは、1日8時間、1週40時間(特例措置対象事業場については44時間)と定められていますが、変形労働時間制を採用する場合を除いて、この時間を超えて労働させる場合は時間外労働となります。また、法定休日とは1週間に1日の休日(変形休日制を採用する場合は4週4日)と定められておりますが、この休日に労働させる場合は休日労働となります。

    法定の労働時間を超えて労働させる場合、または、法定の休日に労働させる場合には、あらかじめ労使協定を締結し、これを管轄の労働基準監督署長に届出をすることが必要となります。この協定のことを労働基準法第36条に規定されていることから、通称「36協定」といいます。

    2.「36協定」の締結単位

    36協定は、事業場単位で締結を行い、届出をする必要があります。1つの会社で別々の場所に工場・支店などがある場合は、通常はその工場・支店などがそれぞれ1つ の事業場にあたりますので工場・支店などごとに36協定を締結し、それぞれの所在地を管轄する労働基準監督署長に届出を行う必要があります。電子申請の場合は、一括も可能になっています。

    3.割増賃金の支払い

    法定時間外労働をさせた場合には2割5分以上の、法定休日労働をさせた場合は3割5分以上の割増賃金を支払う必要があります。なお、土曜日と日曜日を休日とするような週休2日制を採用している事業場では、1週間に休日が2日あるので、どちらの休日の労働に対して3割5分を支払うのかを就業規則などで明確にしておくようにしましょう。

    4.延長時間について

    36協定の延長時間は(1)1日、(2)1日を超え3ヶ月以内の期間、(3)1年間、の3つについて協定しなければならないことになっています。

    (1)1日の延長時間の限度
    危険有害業務で法令で定める業務に従事する者の時間外労働の上限は1日2時間とされていますが、この具体的な業務は以下の通りとなっています。
     ◎坑内での労働
     ◎多量の高熱物体取扱・著しく暑熱な場所の業務
     ◎多量の低温物体取扱・著しく寒冷な場所の業務
     ◎エックス線などの有害放射線に曝される業務
     ◎土石などのじんあい・粉末を著しく飛散する場所の業務
     ◎異常気圧下業務
     ◎さく岩機などの使用による身体の著しい振動業務
     ◎重量物取扱などの重激業務
     ◎ボイラー製造などの強烈な騒音発生場所の業務
     ◎鉛・水銀などの有害物発散場所の業務
    これら以外の業務について、1日の延長時間の限度についての規制は原則としてありません。

    (2)1日を超える期間の延長時間の限度
    「1日を超え3ヶ月以内の期間」と「1年間」についての延長時間は、期間ごとに限度時間が決められています。臨時に限度時間を超えて時間外労働を行う特別の事情が予想される場合には、次のような特別条項付き協定を締結することによって限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。

    例)「一定の期間についての延長時間は1ヶ月30時間とする。ただし、納期が集中し生産が間に合わないときは、労使の協議を経て、1ヶ月50時間までこれを延長することができる。」(詳しくは最寄りの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。)

    次の事業又は業務には、期間ごとの限度時間が適用されません。
     ◎工作物の建設等の事業
     ◎自動車運転の業務
     ◎新技術・新商品等の研究開発の業務 
     ◎その他厚生労働省労働基準局長が指定する事業又は業務(郵政事業の年末年始における業務、船舶の改造、修繕に関する業務など)

    (3)改正育児・休業法に基づく延長時間の限度
    小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者又は要介護状態の対象家族の介護を行う労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1ヶ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせることはできません。

    (4)所定外労働と法定外労働について
    所定始業時刻が午前9時、所定終業時刻が午後5時、休憩時間が正午から1時間の事業場で午後7時まで2時間残業をした場合、合計で9時間労働したことになります。
    この場合、午後5時から6時までの1時間は所定労働時間を超えていますが、法定労働時間の8時間以内の(法定内の)時間外労働であるのに対して、午後6時から午後7時までの1時間は法定労働時間を超える(法定)時間外労働になります。
    36協定の延長時間は、本来、後者の法定労働時間を超える時間外労働について協定すべきものですが、労使協定で、所定労働時間を超える時間外労働について締結する場合は、その旨を協定の中で明らかにしておく必要があります。

    参考)延長時間の限度

    期間 一般労働者(右の欄以外の労働者) 1年単位の変形労働時間制
    (期間3ヶ月超)の対象労働者
    1週間 15時間 14時間
    2週間 27時間 25時間
    4週間 43時間 40時間
    1ヶ月 45時間 42時間
    2ヶ月 81時間 75時間
    3ヶ月 120時間 110時間
    1年間 360時間 320時間

    参考)「1日を超え3ヶ月以内の期間」について、毎月異なった延長時間を協定し届け出る場合の記入例
    1)令和○年4月1日協定・届

    延長することができる時間
    1日 1日を超える一定の期間(起算日) 期 間
    1ヶ月(4月1日) 1年(4月1日) 「1日」及び「1ヶ月」について、令和○年4月1日から同年4月30日まで。「1年間」について、令和○年4月1日から1年間。
    3時間 45時間 250時間

    2)令和○年5月1日協定・届

    延長することができる時間
    1日 1日を超える一定の期間(起算日) 期 間
    1ヶ月(5月1日) 1年(4月1日) 「1日」及び「1ヶ月」について、令和○年5月1日から同年4月30日まで。「1年間」について、令和○年4月1日から1年間。
    3時間 30時間 250時間

    5.特別条項付き36協定を締結する場合

    臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き36協定」を結ぶことにより、限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。
    特別条項付き36協定では、以下のことを定める必要があります。
     ◇原則としての延長時間(限度時間以内の時間)
     ◇限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情
     ◇一定期間途中で特別の事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続
     ◇限度時間を超える一定の時間
     ◇限度時間を超えることができる回数

    平成22年4月からの労働基準法改正により「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使で特別条項付き36協定を結ぶ際には、新たに、以下の点について定めなければならないとされました。

    ◇限度時間を超えて働かせる一定の期間(1日を超え3か月以内の期間、1年間)ごとの割増賃金率
    ◇上記の割増賃金率を法定割増賃金率(2割5分以上)を超える率とするよう努める
    ◇延長することができる時間数を短くするよう努める

    時間外労働の上限規制
    (大企業:2019年4月施行、中小企業:2020年4月施行)
    これまでは、残業時間の上限がありませんでした。
    ①時間外労働の原則は月45時間・年360時間(行政指導のみ)
    ②特別条項を締結した際の延長時間の上限なし

    時間外労働の上限が罰則付きで法律に規定されます。
    さらに、臨時的な特別の事情がある場合にも上回ることができない上限が設けられます。

    ◇時間外労働が年720時間以内

    ◇時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満

    ◇時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平 均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内

    ◇時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度

    ※上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科され るおそれがあります。

     

    5.36協定の記入例

    新36協定の実際の記入例のご紹介
    ~2021年4月から36協定の様式が新しくなっています~

    ①36協定届における押印・署名の廃止
    (協定書を兼ねる場合は、署名、または記名・押印が必要)

    ②36協定の適正な締結に向けて、労働者代表についてのチェックボックスが新設

    記載すべき項目は旧様式同様、以下の通りです。

    • 事業の名称
    • 時間外、休日労働をさせる必要のある具体的事由
    • 業務の種類
    • 延長することができる時間
    • 1日を超える一定の期間(起算日)、期間
    • 1年単位の変形労働時間制により労働する労働者
    • 所定休日
    • 労働させることができる休日並びに始業及び終業の時刻
    • 協定の成立年月日
    • 協定の当事者である労働組合の名称又は労働者の過半数を代表する者の職氏名
    • 職、氏名
    • 協定の当事者の選出方法
    • 使用者職氏名
    • 延長することができる時間

    36協定届(一般条項)

    1. 労働保険番号・法人番号を記載します。
    2. 事業場(工場、支店、営業所 等)ごとに協定を結びます。
    3. この協定が有効となる期間を定めます(1年間とすることが望ましい)。
    4. 1年間の上限時間を計算する際の起算日を記載します。その1年間においては協定の有効期間にかかわらず、起算日は同一の日である必要があります。
    5. 対象期間が3カ月を超える1年単位の変形労働時間制が適用される労働者については、②の欄に記載します。
    6. 事由を具体的に記載します。
    7. 業務の範囲を細分化し、 明確に定めます。
    8. 1日の法定労働時間を超える時間数を定めます。
    9. 1カ月の法定労働時間を超える時間数を定めます。①は45時間以内、②は42時間以内です。
    10. 1年の法定労働時間を超える時間数を定めます。①は360時間以内、②は320時間以内です。
    11. 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には、36協定の締結をする者を選ぶことを明確にした上で、投票・挙手などの方法で労働者の過半数代表者を選出し、選出方法を記載します。使用者による指名や、使用者の意向に基づく選出は認められません
    12. 労働者代表の職名氏名を記載します。(管理監督者は労働者代表にはなれません)
    13. 別途協定書を締結する場合は、署名・押印が不要となります。(記名は必要です)
      協定書と協定届を兼ねる場合は、署名、または記名・押印が必要です。
    14. 代表者を記載します。
    15. 別途協定書を締結する場合は、署名・押印が不要となります。(記名は必要です)
      協定書と協定届を兼ねる場合は、署名、または記名・押印が必要です。
    16. 時間外労働と法定休日労働を合計した時間数は、月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内でなければいけません。これを労使で確認の上、必ずチェックを入れます。チェックボックスにチェックがない場合には、有効な協定届とはなりません。
    17. チェックボックスにチェックがない場合には、形式上の要件に適合している協定届とはなりません。
    18. 使用者による指名や、使用者の意向に基づく選出は認められません。 チェックボックスにチェックがない場合には、形式上の要件に適合している協定届とはなりません。

    36協定届(特別条項)

    特別条項付きの36協定届は様式が2枚にわたり、「限度時間内の時間外労働についての届出書」と「限度時間を超える時間外労働についての届出書」を届け出る必要があります。

    1. 1年間の上限時間を計算する際の起算日を記載します。その1年間においては協定の有効期間にかかわらず、起算日は同一の日である必要があります。
    2. 事由は一時的または突発的に時間外労働を行わせる必要のあるものに限り、できる限り具体的に定めなければなりません。「業務の都合上必要なとき」「業務上やむを得ないとき」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません。
    3. 業務の範囲を細分化し、明確に定めます。
    4. 月の時間外労働の限度時間(月45時間または42時間)を超えて労働させる回数を定めます(年6回以内に限る)。
    5. 限度時間(月45時間または42時間)を超えて労働させる場合の、1カ月の時間外労働と休日労働の合計の時間数を定めます(月100時間未満に限る)。なお、この時間数を満たしていても、2~6カ月平均で月80時間を超えてはいけません。
    6. 限度時間を超えて時間外労働をさせる場合の割増賃金率を定めます。この場合、法定の割増率(25%)を超える割増率となるよう努めてください。
    7. 限度時間(年360時間または320時間)を超えて労働させる1年の時間外労働(休日労働は含まない)の時間数を定めます。年720時間以内に限ります。
    8. 限度時間を超えて時間外労働をさせる場合の割増賃金率を定めます。この場合、法定の割増率(25%)を超える割増率となるよう努めてください。
    9. 限度時間を超えて労働させる場合にとる手続きについて定めます。
    10. 限度時間を超えた労働者に対し、裏面の記載心得 1(9)①~⑩ の健康確保措置のいずれかの措置を講ずることを定めます。
    11. 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には、36協定の締結をする者を選ぶことを明確にした上で、投票・挙手などの方法で労働者の過半数代表者を選出し、選出方法を記載します。使用者による指名や、使用者の意向に基づく選出は認められません
    12. 管理監督者は労働者代表にはなれません。
    13. 別途協定書を締結する場合は、署名・押印が不要となります。(記名は必要です)
      協定書と協定届を兼ねる場合は、署名、または記名・押印が必要です。
    14. 代表者を記載します。
    15. 別途協定書を締結する場合は、署名・押印が不要となります。(記名は必要です)
      協定書と協定届を兼ねる場合は、署名、または記名・押印が必要です。
    16. 時間外労働と法定休日労働を合計した時間数は、月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内でなければいけません。これを労使で確認の上、必ずチェックを入れます。チェックボックスにチェックがない場合には、有効な協定届とはなりません。
    17. チェックボックスにチェックがない場合には、形式上の要件に適合している協定届とはなりません。
    18. 使用者による指名や、使用者の意向に基づく選出は認められません。 チェックボックスにチェックがない場合には、形式上の要件に適合している協定届とはなりません。

     

    6.36協定違反のリスク

    36協定で定めていた内容に違反してしまった場合についても確認しておきましょう。

    ・違反となるケース

    36協定違反となるケースには次のような場合があります。万が一違反してしまったとしても、企業側から労働基準監督署などへの報告を義務付ける制度は現在ありません。しかし、企業としては重大な労務リスクとなる可能性があります。違反を起こさないようにする必要があります。36協定違反となるのは以下のようなケースです。

    • 36協定を締結していないのに時間外労働や休日労働を命じている
    • 36協定を締結し時間外労働の上限を40時間と定めていたが、合計時間が40時間を超過してしいる

    ・罰則の対象者

    36協定に違反してしまった場合、懲罰の対象となるのは労働条件の決定権限を持つ企業の経営者と管理監督者(上司)となります。工場長や部門長など現場の管理監督者も対象となるため、個人も罰せられる可能性があることも理解しておきましょう。

    ・懲役または罰金が科される

    36協定を締結していないのに、時間外や休日の勤務を命じた場合、労働基準法第32条違反となり、労働基準法第119条に基づき「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されると規定されています。

    ・企業名が公表される可能性がある

    労働基準監督署は毎年違反の事例を公表しています。インターネットで検索をすれば違反した企業を調べることができるようになっています。会社名や違反内容が公表される可能性があります。公表された場合、企業の社会的信頼を損ね、事業や採用に悪影響を及ぼすリスクがあります。

     

    7.36協定違反とならないための対策

    36協定で締結した労働時間の上限時間を超えないための対策を確認しておきましょう。労働者に時間外労働を指示する際には、次のような対策を行う必要があります。

    ・健康・福祉の確保措置を取り決める

    限度時間を超えての労働は、労働者が心身ともに疲弊するだけではなく、業務の効率が落ち、業績に悪影響を与えるリスクがあります。企業は限度時間を超えて労働する労働者の健康・福祉を確保するようにしましょう。そのための措置として、次のようなものがあげられます。

    • 医師による⾯接や保健指導
    • 定期的な健康診断
    • 深夜業(22時〜5時)の回数制限
    • 心とからだの相談窓⼝の設置
    • 人事異動等による配置転換

    ・勤怠管理を正しく行う(クラウド活用)

    労働者の労働時間を正確に把握することは、企業側の責務です。誰がどのくらい労働を行い、残業時間を把握することで残業代の計算や上限時間の超過防止にも有効です。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」でも、企業が講ずべき以下のような労務管理における勤怠把握の方法が記載されています。タイムカードや打刻ツールを導入することで、管理の手間を軽減することもできます。クラウド勤怠システムを導入すれば、リアルタイムで正確な勤怠管理を行うことが出来ます。

    • 始業・終業時刻の確認及び記録
    • 賃金台帳の適正な調製
    • 労働時間の記録に関する書類の保存
    • 労働時間等設定改善委員会等の活用

    ・特別休暇を付与する

    特別休暇を付与することも有効です。繁忙期が過ぎた後に特別休暇を与えるなど事前に取り決めておくことで、上限超過の防止だけではなく、労働者のモチベーションアップやリフレッシュにも繋がります。

     

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